なぜ今、「ねっとり」ほしいもがブームなのか?
「ねっとりとして、まるでスイーツのような甘さ!」
近年、ほしいも市場で圧倒的な人気を誇っているのが 「べにはるか」を使用したほしいもです。
昔ながらのほしいもといえば、噛みごたえがあり、素朴な味わいが魅力でした。しかし、このべにはるかが登場して以来、ほしいもは「ねっとり」「高糖度」という新しい価値を獲得し、一大ブームを巻き起こしています。
この記事では、
- 「べにはるか」がどのようにして生まれたのか
- ねっとり食感と甘美な味わい生み出す品種の秘密
- 最高のねっとり感を味わうためのほしいもの選び方
について、「ほしいも図鑑」の編集者が紹介します。
ねっとり革命の立役者!「べにはるか」誕生の歴史的背景
「ねっとり系」のさつまいもの代表格であるべにあるかは、実は比較的最近に誕生した品種です。
さつまいもに食味や外観、果物のようにしっとりとした柔らかな食感や強い甘みが求められるようになったという時代背景から、ねっとり食感のべにはるかは誕生しました。[1]
ホクホク系から、ねっとり系へ
べにはるかが登場する前、日本のさつまいもの主流であったのが 「ベニアズマ」 に代表されるホクホク系のさつまいもです。
ベニアズマは、1984年に育成されたホクホク系の代表的な品種で、甘みが強く、天ぷらや焼き芋、大学芋など様々な料理に適した優良品種でした。ホクホクとした粉質の食感と、素朴で上品な味わいが特徴です。
しかし、時代とともに消費者の好みは変化していきました。「もっと甘くて、とろけるような食感が欲しい」というニーズが高まり、「しっとり系」「ねっとり系」のさつまいもへの期待が高まっていったのです。
この市場の変化に対応し、現代の消費者が求める「甘く、ねっとり」とした食感を実現するために、新しい品種の開発が急務となったのです。

世紀の傑作!「べにはるか」の誕生と命名の由来
こうした背景から、農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)を中心とした研究チームが、新品種の開発を進めました。
そして2010年に品種登録されたのが、今日のねっとりほしいもブームの火付け役、「べにはるか」です。[2]
べにはるかは、いもの外観が優れる「九州121号」を母、いもの皮色や食味が優れる「春こがね」を父として生まれました。優良品種を掛け合わせることで、ねっとり感、甘さ、外観の美しさの全てを高いレベルで兼ね備えることに成功しました。
ねっとり系のトレンドを捉えたべにはるかは、2015年に人気品種のトップになりました。[3]
「べにはるか」という名前は、「既存のさつまいもよりも はるかに優れている」という意味を込めて名付けられました。[4]この名前の通り、べにはるかは日本のさつまいも市場に革命をもたらしたのです。

「ねっとり」食感の秘密は?べにはるかの品種特性を解説
べにはるかが「ねっとり」として「とろけるような甘さ」を持つのは、単に「運」や「製法」だけではありません。その美味しさの秘密は、品種そのものが持つ科学的な特性にあります。
【品種特性】極上の甘さを生むデンプンとβ-アミラーゼ
さつまいもの甘さは、含まれているデンプンが酵素の働きによって糖に変わることで生まれます。
べにはるかの品種特性は、以下の2点にあります。
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水分が多く、粘質な食感を持つ特性 [5]
- べにはるかは、収穫直後は粉質ですが、貯蔵を経て粘質、しっとりとした食感へと変化します。これがねっとり、もっちりとした食感を生み出します。
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「β-アミラーゼ」という酵素の活性が高い [6]
- さつまいもに含まれる代表的な酵素がβ-アミラーゼです。この酵素は、加熱調理の過程でデンプンを麦芽糖(マルトース)という糖分に分解し、甘さを作り出します。
- べにはるかは、このβ-アミラーゼの活性が他の品種より高く、特に低温でじっくり加熱することで、より多くの糖分を生成することが可能です。
つまり、べにはるかは 「加熱時に甘さを最大限に引き出しやすい体質を持っている」と言えるでしょう。
「ほしいも」にすると際立つ!ねっとり食感と色味の秘訣
べにはるかがほしいもに加工されたとき、その特性が最も際立ちます。
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極上のねっとり感
べにはるかは水分が残りやすく、干し上げる際にもちもちとした食感を保ちます。そのため、まるで羊羹(ようかん)のように、とろける舌触りのほしいもが完成します。 -
美しい黄金色
加熱によって作られる麦芽糖などの糖分は、見た目も美しい黄金色に輝きます。食欲をそそる豊かな色合いも、べにはるかほしいもの大きな魅力です。
プロが教える!極上の「べにはるかほしいも」の選び方
べにはるかがなぜ美味しいのか、その秘密がわかったところで、実際に購入する際のポイントを見ていきましょう。最高のねっとり感を味わうためのチェックポイントをご紹介します。
失敗しない!最高のねっとり感を味わうためのチェックポイント
高品質なべにはるかほしいもを選ぶ際には、以下のポイントに注目してください。
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色とツヤ(ゴールデンチェック)
- 美しい黄金色〜濃いアメ色になっているか確認してください。この色は、製造過程でデンプンが十分に糖化した証拠です。
- 表面に蜜のようなツヤがあるものは、高糖度である可能性が高いです。
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形と厚み(もっちりチェック)
- 平切りほしいもの場合、厚みが均一で、適度な肉厚感があるものを選びましょう。薄すぎるものは乾燥しすぎて硬くなっていることがあります。
- 丸干しほしいもの場合は、中心部まで均一に火が通り、しっとりとしているものが理想的です。
これらのポイントをチェックすれば、ねっとり感たっぷりの美味しいべにはるかほしいもに出会えるはずです。
まとめ:ねっとりほしいもは進化の結晶!
この記事では、ねっとり革命を起こした「べにはるか」の誕生秘話から、その美味しさの科学的な秘密までを詳しく解説しました。
べにはるかは、単なる流行ではなく、「もっと美味しいほしいもを」という人々の情熱と、品種改良という技術が融合して生まれた進化の結晶です。あなたが次にべにはるかのほしいもを食べる時は、その誕生のストーリーと酵素の働きを思い浮かべてみてください。
「ほしいも図鑑」では、今回ご紹介したべにはるかを使った高品質なほしいもを取り扱っています。
ねっとり感に特化したべにはるかのほしいもをぜひ「ほしいも図鑑」でご購入ください。
参考文献
[1]: サツマイモ新品種「べにはるか」の育成 | 九州沖縄農業研究センター報告
[2]: 農林水産省品種登録ホームページ
[3]: 焼きいもブームの歴史とその背景 | 独立行政法人農畜産業振興機構
[4]: 広報誌「NARO」| 農研機構
[5]: かんしょ「べにはるか」の追熟ステージの特徴 | 新潟県農業総合研究所
[6]: 農研機構技報



